コハタのコトバ

コハタのコトバ

木幡真人の『コハタのコトバ』

あの日から5年が経つ

8月がやってきた。
 
あれから5年が経つ。
 
2012年8月4日。
 
あの日を境になにもかも変わった。
 
一番調子が良い時だった。
 
良かったからこそ、一瞬にして崩れた。
 
400mトラックを2周残した時、右脚が動かなくなった。
トラックを12周半走るうち、あと2周まで来てだ。
 
激痛に耐えながら、ジョグのようなペースでゴールに倒れこんだ。
 
 
それまでやってきたこと、目指してきたこと、全てが目の前から崩れて消えていった。
 
そのあとはもう、よく覚えていない。
 
覚えてはいるけど、ただただ激痛に耐えながら帰ったことくらいしか覚えていない。
 
 
実際、次の日からが辛い毎日だった。
 
しばらく歩くのさえきつかった。
 
翌日にやっていたロンドン五輪の女子マラソンを部屋で見ながら、 どういうわけだか号泣した。
 
トレーニングルームから走っている仲間たちを見るしかない日々、新人戦も駅伝も全て棒に振っていつ治るのか分からない自分の脚。
 
『学校と家の往復』という言葉がいろんな人と話していると出てくるけど、
そんな自分にとって、学校、とりわけ勉強が嫌いだった自分にとって、そこをもぎ取られたことは命を取られるほど絶望だった。
 
目線の先のトラックで走る仲間を応援するのは複雑だった、電光掲示板に映し出される<DNS(棄権)>の文字を思い出すたび、自分だって走るはずだったと消化できない気持ちになった。
 
 
あれから5年がたった。
 
脚だって完治した、家と学校の往復でもなくなった。
 
 
だから僕は楽しいと思うことをやり続けたいんだ。